自然の採光 と 人口的な採光
中野駅近の眼科医院の外来フロアの計画である。採光可能な開口部は前面大通りに面するものしかなく、奥行きのある
テナントであった。
25坪弱しかないフロアで診察室などの機能で区切った際に、待合や検査ゾーンは限られた狭いスペースになってしまう。そこには多くの出隅ができてしまい、
主な患者である高齢者には強いソリッドな印象を与えてしまう。
そこに照明計画が加わり、よりソリッドなボリューム感が際立ってしまい強い印象を増加させてしまう。
いかにしてクリニックに柔らかい印象を作り出すことができるかが重要となった。角ばったボリューム感と光が主な要因であると考え、角ばったボリューム感をなくすことと、自然の光による陰影を作り出すことと、逆に人工的な柔らかい陰影をつくりだすことが重要であると考えた。
行った操作としては該当するソリッドな壁の出隅入隅部分にRをつけること。開口枠などのソリッドな印象を与える部分を極力排除する。また、天気や時間帯によらずクリニックは開いているため、前面開口部からくる自然光と、人工的な光が柔らかい印象をつくりだす照明とすること。
天気が良い日や日中は自然光にたより、グラデーション上にクリニックの奥にまで光を届ける。天気が悪い日や夕方以降は、隙間から差し込む類似自然光のような間接照明をつくり、柔らかい印象を作り出そうとした。

受付・待合
間接照明により光のグラデーションが生まれ柔らかい印象を与える

診察室入口
人口照明による模擬的な光であるが天窓から太陽光が降り注いでいるような印象を与えている

検査室
検査室内も角をなくしR形状を多く用いることで柔らかな印象を受ける

診察室
開口部もR形状としクリニックのイメージを統一

受付・待合
日中の時間帯は、人口照明には頼らずクリニック奥までグラデーションのような自然光を届ける

検査室
壁にミラーを使用することで光が奥まで連続しているような印象を受ける

通路
光に陰性により平坦な通路にもリズミカルな印象を受ける