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「婦人科」と「小児科」に重要な設計スキームを考える

TSDコラム

COLUMN
2022.07.13
「婦人科」と「小児科」に重要な設計スキームを考える

今回は婦人科と小児科についてお話します。

診療所(クリニック、入院施設を有しない)は、産科がない婦人科単科の場合が多く、むしろ不妊治療のクリニック併設や、乳腺外科での専門クリニックも増えています。また小児科は、ニーズがあるものの小児科単科標榜が少なく、内科診療科併記が多いのが現状です。

◎婦人科のレイアウトは科目で変わる

婦人科は女性専用のクリニックであり、診察室+内診室(内診台を有する検査室)に超音波(エコー検査)検査室を併設させるケースが多く見られます。ドクター側の利便性の高さを考え、多数のクリニックが診察室から横に並列レイアウトする計画を採用しています。

レイアウトは採尿検査などを配置すると、外来のみでも4050坪程度が必要です。もちろん診療科の性質上、ほかの診療科よりプライバシーの確保が重要になりますから、待合室や受付の構造にも配慮します。

不妊治療(リプロダクション)科は、ご夫婦での対応になることが少なくありません。クリニック内のゾーン分けや、もちろんプライバシーの厳密な確保も必須となります。自費診療ですと患者さんに対する説明も増えますから、治療説明室やセミナールームの設置も重要視すべきポイントです。

治療行為的には、診察室、採卵室、受精室、採精室、保存室、ラボ・培養室、ラボ電子顕微鏡室と、かなり重装備の施設となります。テナント選択時からきちんとした計画が求められますし、最低でも5060坪程度の規模を確保することが重要です。また、培養室には空気清浄度を確保するクリーンベンチを設置し、保存室には液体窒素を用いるため、医療ガスの準備をする必要もあります。

施設の性質上、非常用電源は重要な設備です。東日本大震災時の計画停電で、弊社が設計施工したクリニックに緊急用自家発電装置を急遽設置したこともありますので、この種のクリニックは都心部で停電の可能性が低くとも、自家発電装置がマストアイテムといえます。

乳腺外科は、昨今乳がんの早期発見が重視されており、女性専用の乳腺外科での標榜クリニックが多くなっています。クリニックの性質上、婦人科と同様にプライバシーの確保が重要です。また、マンモグラフィーの解像には高性能モニターが必要となります。電子カルテとは別に専用モニターの用意が不可欠ですから、診察室のモニター配置にも配慮します。

さらに処置室には、採血、腫瘍マーカー検査、生検検査などの対応が必要ですし、薬物療法外来まで設置する場合は、専用の治療スペースも考慮して計画します。

小児科の設計ポイントは「子供+母親」

小児科は診療範囲が広くなり、新生児から小学校高学年、もしくは中学生までを対象とするため、検査方法やレイアウトなどにも注意する必要があります。まず基本的に、母親が選択したクリニックへお子さんを連れて診察に来るわけですから、お母さん達にとって信頼に値する空間設備、好感が持てるインテリアデザインであることが望ましいです。

 

次に、機能について見てみましょう。免疫力の弱い子供達は感染症にかかりやすく、待合室・診察室は感染症用の隔離待合室、隔離診察室を計画します。クリニック内はベビーカーのまま移動できるようにして、ベビーベッドの配置や待合ソファーの形状、外来トイレの子供用便器の設置など、小児科としての特性を考慮したレイアウトが重要です。

 

最近は子育て相談的な側面を持つ小児科の増加に伴い、セミナー室を設置するケースもあります。何より、母親がいかに子供に愛情を持ち、「子供の健康面を心配している気持ちに応じる環境であるか」が、小児科に必要な環境デザインといえます。加えて小さな子供達にとって、恐怖心や威圧感がない明るい環境であることも重要です。

【タカラスペースデザインによる案件のご紹介】

[培養室]

[内診室]

[小児科W.C]

[小児科キッズスペース]

[小児科処置室]